分散型保険の未来は?

コインカバーのシャロン・ヘンリー氏のインタビューから見る今後の仮想通貨と保険

分散型保険の未来は?
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分散型保険の未来は?

コインカバーのシャロン・ヘンリー氏のインタビューから見る今後の仮想通貨と保険

 
※本記事はXangle社の許可を得てhttps://xangle.io/en/insight/research/6052b87a76c562981337208d を転載しております。(現職を加筆)
 
先日 、コインカバーのCPO(現:VP of Research and Develpment)であるシャロン・ヘンリー氏にインタビューを実施しました。
 
ー まず経歴とクリプトやブロックチェーンに関わるようになったきっかけを教えてください。
シャロン・ヘンリー氏(以下シャロン) : 英国王立造幣局のマーケティング部長としてブロックチェーンやクリプトの世界に入り、王立造幣局のブロックチェーンベンチャーであるロイヤルミント・ゴールド(RMG)の立ち上げを担当しました。現在は、暗号資産の預金保護や、暗号資産の盗難に対する保険などのFCISを提供する暗号セキュリティのナンバーワンブランド、コインカバーのCPOに就任しています。(2021年8月よりVP of Research and Develpment)
 
ー 御社がユーザーにもたらす価値とは何でしょうか。
シャロン:当社は高い安全性を保ちつつ、仮想通貨の普及を促進するために存在しています。そして商品は、機関投資家やエンドユーザーが資金にアクセスできなくなることがないように設計されています。そして、ホットウォレットレベルで個人保険を提供する唯一の企業として、万が一資金が盗まれた場合にも支払いを保証しています。なお、私たちの保険の引き受け先は英ロイズ保険組合です。
 
ー 5年後、会社はどうなっていると考えていますか?
シャロン:ビットコインが誕生して11年になりますが、ようやく普及の兆しが見え始めたのは最近の話です。個人投資家だけでなく機関投資家の参入も増えてきました。クリプトやDeFi(当事者同士の直接取り引きが可能な金融システム)は、従来の銀行や金融の常識を覆し続け、今後も多くの製品やサービスが移行していくと見込んでいます。当社は、業界がどのように進化したとしても、この素晴らしい業界に参加しようとする人々へ安全を提供するために、私たちの商品とサービスを進化させていきます。
 
ー 分散型保険について、よく耳にする誤解にはどのようなものがありますか?
シャロン:仮想通貨やDeFiの分野では、保険の種類を理解していない人がほとんどです。例えば、保険は4つの主要な分野に分類されます。

  • 犯罪保険:盗難、内部共謀、ハッキング暗号が盗まれたらどうするのかという課題に対応
  • カストディ保険:秘密鍵の保管や復元、災害復旧、コールドストレージ暗号鍵へのアクセスを失った場合、または暗号鍵を保有する企業が倒産した場合にどうなるかという課題に対応してくれる
  • ビジネス保険:個人情報漏洩(PII)、会社役員賠償(D&O)(一般取締役保険 - ただし仮想通貨ビジネスには参入が難しくなっている)。
  • DeFi保険:スマートコントラクト保険(技術/ソフトウェアがハックプルーフであり、締結した取引の約束を果たすことの補償)

 
ー 2021年、分散型保険の次の一手はどのように考えていますか?
シャロン:インシュアテック業界や一般的な保険商品は、仮想通貨の世界において確実に進化しています。 当社はクリプトにおける安全の基準であり、ユーザーである仮想通貨保有者が、FDICの制度が銀行預金に提供するのと同種の保護を受けられる世界を見据えています。しかし、その保護というのは、ただ多数の盗難リスクから保護するだけではありません。秘密鍵を紛失したり、取引先の企業が倒産したりした場合に資金へのアクセスを失うことも想定しています。また、仮想通貨の遺言書も提供しており、機密情報やセキュリティ情報を開示することなく、暗号資産を大切な方へ相続させることができます。
PIIやD&Oの分野では、さらに多くの保険商品が開発されていると見込んでおり、私たちも同様の商品を発売することを目指しています。暗号資産保有者にとって、このような補償を得ることはますます困難になってきています。
当社は現在「仮想通貨の遺言」に関連する製品に多くの関心を寄せています。暗号の価値が上がると、より多くの方々が、自分の身に何か起きたときは大切な方に暗号を渡す安全な方法を模索するようになると思っています。
DeFiは巨大なものになり、保護するべき事項がたくさん出てくるでしょう。外部からのハッキングやマイニングの談合だけでなく、スマートコントラクトなどの技術の不具合など、リスクがどんどん増えていくことが予測できるので、複雑になっていくでしょう。
スタートアップ企業の中には、ビットコインの下振れリスクのような不安定さ自体に保険をかけることを検討している企業もあります。また、第三者預託に対する保険も増加傾向にありますし、大口取引を促進するため、上乗せ型の保険などもあります。多くの機関投資家が、取引所で機関投資家に保証されている内容に加えて、上乗せする保険を求めて弊社を訪ねてきています。こうすることで、資金が完全に保護されていることを担保できるのです。
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